ねこねここねこ
クラスの子たちが、ちょっとばかり 姿を消した時、いやな予感がしたんだよなぁ。あんのじょう・・・・。
雨だというのに、上着を脱いだままで、何かを抱えて走る子を、取り巻くように追いかけながら、何かを口々に叫んでいる。叫びながら、まっしぐらにこっちへ走ってくる。みんなの目は、必死で、そろいも揃って、わたしの目を見ている。

駆け寄った子たちが抱えてきたものは、生後一ヶ月足らずの、二匹の子猫。しかも一匹は、もうぐったりしていて、わたしと一緒に居た、一年の担任の女先生が、「いやぁー!死体まで拾ってきてぇーっ!」と悲鳴をあげたほどだ。子供たちは、「せんせ、先生なら助けられるよね?」と、口々に叫ぶ。
「えーい、やかましい!黙れ黙れ、ともかく、見せなさい。」
神妙に差し出されたこねこを、おっとり観察。ふむ。息はほとんど無いが、かすかに死臭もしてきてはいるが、子供たちの期待のまなざしを受け止めたい・・・。

部屋のストーブをつけ、温めながら、スポイトで、そこにあったクリープを薄めて、口に入れてみる。反応あり。イケルかも?
同僚が、生後半年の女の子を持っているのを幸い、と、粉ミルクをわけてもらって、家に連れ帰って、ホッカイロを敷いて、タオルでマッサージ。ミルクを無理矢理飲まされた子猫たちは、息も穏やかになって、今は眠っている。温かくして、眠る、これ、基本。明日はどうなるか、解らないけれど、ともかく、今日一日は、生き延びた。

捨てられて、四〜五日になろうか。骨と皮になって、なお、生きるためにわたしの元に来たのだよね。捨てるヤツは、結局の所、殺すことを直接にしなかった・だけだよ。死んでもかまわない、と思えるから、捨てたんだ。捨てる、って、そういう行為だよ。

死ぬかもしれない。生きるかもしれない。わたしは、生きてもらいたい、と思う。そのための努力は、惜しまないつもりだが、職場に連れて行くのも、なぁ・・・。と。まぁ、いまのところ、考え中。
2002年6月12日 22:37
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2002年6月13日 12:05
とんでもない、ったら、ありゃしない。
昨夜、自分の作業を全部終わって、寝たのが午前三時。それまでは、死んだように眠っていた二匹の子猫。もそもそ、にぃー、みょー、鳴きだし、起き出し、はい回る。時計を見たら十五分しかたっていない。やれやれ、と起きて、ミルクを温め、スポイトで飲ませる。大量におしっこして、それは、まぁ、オッケー。元気を回復したらしい。・・・・でも、寝てくれよぉー。
二匹がそれぞれ、思い思いの方向に走り出し、しかも、物陰に隠れるは、探検するは、冷蔵庫の陰からホコリを出してくれるは、もう、夜中だから、となりの部屋の母にバレないか気が気でないし、・・・。
結局、静かになったのは、朝七時。
わたし、やっと風邪が治りかけているのだよ、って、子猫に言っても、解るまいなぁ。
2002年6月15日 0:43:
子猫は、いわゆる「すまねこ」(ひどく人見知りするネコ)だった。人を見ると怯え、とにかく逃げようとしていた。今日になって、やっと、わたしを覚えてくれたらしい。認めてくれた、というか。
学校から帰って、子猫を入れて置いたケージ(犬用なんだが)を覗いたら、みぃー、と呼びかけてくれて、やっこらしょ、って感じに、箱から出てきた。膝によじ登って、手のひらに上がって、そこで丸まってしまった。ごろごろ、喉を鳴らしている。偶然か、と思ったが、何度やっても、同じ事をする。良かった、なんか、めちゃくちゃ嬉しいぞ。世話をしている甲斐がある、ってもんだよ。まだ、灰色の目だが、大人になったら、どんな色になるのか、楽しみである。大きくなってね。缶詰の魚、離乳食のミルク、食べてますよ。ほくほく、です。トイレも、上手。
ただ困ったことに、ケージから出して、って要求するんだよなぁ。一緒に寝たいらしい。明日は、朝から学校だから、本当はもう寝ないといけないのに、なぁ。可愛くて、ずっと眺めていたい。それに、ネコだけで寝てもらわないと、お互いのためにならないのよねぇ。と、言い聞かせて。

ネコは、猫じゃらしが大好き。最初、ほとんど死んでいた方は、茶色のしましま。ちびちゃ、と呼ぶ。ちびちゃは、白いしっぽもどきの猫じゃらしを追いかけて、転げるように走る。今、一番可愛い盛り、かもしれないなぁ、と思う。弾んでいる様子は、まるで毛糸玉かゴムまりのようだ。目をきらきらさせて、なにもかもを見てやろう、としているみたいだ。子供たちが見たら、喜ぶだろうなぁ。
もう一匹の方は、黒白縞。ちびくろ、と呼ぶ。ちびくろは、いつも、わたしのひざにはい上がってきて、そこで丸まって、そのまま寝てしまう。きっと、まだ、体具合が本当でないのだろう。下痢が治まっていないようだし、体力回復には、寝るのが一番。ゆっくり休んで、と、新しい寝床をこさえてやった。毛皮を敷いたぞ。なでると、二匹とも「ごろごろ」言うよ。甘えてくれると、嬉しいよ。体つきも、ちびちゃの方はふっくらしてきたのに、ちびくろは、まだごつごつしている。でも、大きな声で、呼ぶんだよね。わたしの目を、まっすぐに見てさ。せつなくなっちゃうよ・・・。どこか、痛いのかなぁ?って、心配しながら、なでてやる。日に何度も、熱い湯をひたしたガーゼで、顔をぬぐってやる。
食べるのも、ちゃの方が上手い。ミルクも上手に飲めるし、よく食べてよく眠り、よく遊び、いかにも子供らしい有様に、こっちは、まぁ一安心らしいな。
今日は、家族はみんな出かけたけど、わたしは子猫が心配で「まだ、体調が回復してないから。」と、断った。自分が回復していないのも、本当のことだから、ね。
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2002年6月16日 14:36
朝、ケージを覗いて、ビックリ、どっきり。ちびくろが、冷たくなってる。いやぁーん!
大慌てで、抱き上げたら、かすかに反応あり。おいおい・・・しっかりしてくれ。ミルクを薄めて、スポイトで口に少々。ついでに、昨夜遅くに、獣医に頼み込んでもらって置いた下痢止めを混ぜて、後は、ともかく、ゆっくり休ませるに限る。体力さえ回復出来れば、きっと助かってくれるんだ。今、わたしがそう、決めた。
となりの部屋に、犬や猫が居て、夜中に鳴くから、たぶん、それに気をとられて、ゆっくり休めないから、下痢が続いている体が、回復しきれなかったんだね。箱に新しいタオルを敷いて、職場に連れていって、ずっと車の中に置いた。時々(一時間置きくらいに)様子を見に行ったが、ネコはずっと眠っていた。呼吸が規則正しくなっていて、胸があったかくなって、涙が出そうになった。
家に帰った頃、やっと目を覚まして、入れてやったミルクを、自分で飲んでくれた。ケージに戻したら、ちびちゃが、すぐさまアタックをかける。まだ休ませてやりたいから、別の籠に入れておいた。ちびちゃは、ずっとちびくろに呼びかけている。
よしよし、淋しくても、我慢するんだよ。元気になったら、一緒になれるからね。
2002年6月17日 22:50:
二日間、文字通り「死んだように」眠っていた、ちびくろ。わたしの布団の中で、ひっついて眠り、もや、っと目を開いて、スポイトで、ミルクと薬をへし込まれては目を白黒して、また、とろとろ眠って、を繰り返し。
今日になって、お座りして、かすれた声で「にーぃ」と鳴いた。ちょうど、卵焼きを焼いていたわたしは、冗談半分に、かみ砕いてやった卵焼きを、指にとって、ちびくろの鼻先に差し出してみた。「がぶっ」と、指ごとかじられて、思わず悲鳴をあげた。食べる、食べる、甘い卵焼きを、はむはむ、がぶがぶ、よかった!食べる気が出てきたのなら、快方へ向かっているのだ。
気が付いたが、しっぽが伸びている。成長しているのだ。あんなに、雀の涙程度の量のミルクで、回復と同時に、成長までしているなんて、生き物の力、って、神秘だ。

二階で、取り残されたちびちゃが、大声で呼ぶ。ちびくろを連れて行ったら、早速に猛アタックをかけて、ふらふらのちびくろは、敷かれてしまった。「あっ、こらこら・・・。」。見た目には、ちゃの方は、くろの倍ちかくになっている。健康、って、大事だね。
今、ちびくろは、お腹いっぱいになって、眠っている。前足は、夢の中でおっぱいを飲んでいるのだろうか、ふみふみ・・・しているよ。早く、ちゃと一緒に、転げ回って遊べますように、と、なでながら思う。
2002年6月19日 13:04
生徒のおばあちゃんの家で、最近飼い猫が老衰で死んだんだって。もしかしたら、もらってくれるかも、って言われた。「メスが欲しいんだって。」って言ってたから、帰宅一番、ちびちゃをひっくりかえして見たら、あら?これは・・・オス?飛び回る様子は、確かに、やんちゃが過ぎるくらいだもんなぁ・・・。大きさも、体格のしっかりさかげんも、うーん・・・。ちびくろはメスみたいだが、まだまだ離せないしなぁ。悩むところ。
第一、こんなになついているちびくろを、手放せるのか?って、思い始めている自分が、ちょっとコワイ。
2002年6月19日 23:01
昨夜から、ちびちゃが鳴きっぱなしだった。いや、昨夜から、というよりも、たぶん、もっと前から鳴いていたのだろうが、声が小さくて、聞こえなかったのだろう。その声は、必死で、聞いているこちらが、切なくなるものだった。懐で、穏やかな寝息をたてているくろを見ながら、眠れなかった。
ちびくろは、卵焼きを食べて以来、着々と回復へと向かっていた。夜には、バンバンジー(棒々鶏)を作って、蒸し鶏肉をかみ砕いて与えた。途中で、かみ砕くのが間に合わなくなって、指でほぐしただけのものを、小皿に与えた。蒸し鶏をこさえている間に、ドライフードをコップに入れ、ポットの湯を加えてふやかしたものもこしらえておいたので、それも与えた。今朝になって、ちびちゃも連れてきて、一緒に食事をさせた。ちゃの食欲にはかなわないが、ちびくろも懸命に食べて、トイレもした。くろは、一日、大の方が無かったが、しばらくきばっていて、「ぷぽっ」という音と共に、少量ではあるが、ちゃんとしたウンチをした。もう、血便では無かった。穏やかに、回復していくのだろう。何度も休みながら、食べる、食べる。レンジで、加減して、ぬるくしたミルクも、飲む。
先に、一気に食事とトイレををすませてしまって、探検隊さながらに、あちこち飛び回るちびちゃを見て、愛しいと思いながら、もらわれていく先で、可愛がってくれるかどうか、を考え始めている自分は、この数日で、愛らしいものを手放す立場の側の心理までをも教えてもらったのだ。
2002年6月20日 11:57
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