居場所が無い
最近、家の中に、居場所が無い。
もともと、猫を大勢飼いすぎたのがいけないのだ、とは解っているが。
最初の一匹目は、寝室で飼っていた。名前を「パフ」という。猫は、新しい家に慣れるまでは、一室から出さない、これは基本である。一室が、自分の居場所である、と、猫が確認したら、次の部屋を解放する。そうして、徐々に「この家の飼い猫」という自覚を持てたら、外にも出せる。

しかし、一週間目で、アクシデントが発生した。パフの生まれた家で、飼い主が妊娠している事が判明したのである。パフの兄弟猫を、一匹残す・はずだったのが、出来なくなった、と言う。なんとか、もう一匹、もらってくれ、と頼まれて、二匹飼う事になった。そろそろ、パフを次の部屋に出そうか、と思っていた矢先であった。またぞろ、初めから、である。
二匹目は、「トーマス」というオス。チンチラ系の特徴で、声が異様に甘い。パフは、一足先に、この家の飼い猫になっていたので、一応威嚇する。兄(弟?)なのに、である。二匹の頃は、楽しかった。ひたすら、可愛がった。二匹は、すぐになじんで、ころころじゃれあい、わたしのドでかいベッドで眠った。

もともと、三毛猫が好きだった。飼うのなら、三毛を、そう決めていた。三毛猫が、車で50分くらいの所に生まれている、と聞いた。よせばいいのに、もらってきてしまった。そこからが、難儀の始まりであった。母から「一部屋から出してはいけない。」と宣言されてしまったのである。

三毛はメスで、トーマスとの間に、すぐさま五匹の子を産んだ。日本猫は、成長が早かったのであった。洋猫は、大きくなるかわりに、成長が遅い。それで、うっかりした。気が付いたときには、もう、おなかが張り出していた。

後は、「アソコで、猫を飼っている」と聞いた人が、物置に捨てていったり、なんやかや、で今に至っている。もう、なかば「やけくそ」である。可愛い、なんて、余裕こいては居られない。「餌っ、水っ、トイレっ、あー、それそれ!」追っかけられながらお世話している。自分が食べなくても、猫には食べさせなければならない。旅行にも行けない。でも、すり寄ってくる猫たちを見ていると、ホッとしている自分に気づく。好きなのである。

少し前に、入院・手術をした。帰ってきても、お腹に大きな傷がある身で、猫の部屋には帰れなかった。一匹一匹が10キロ近いのである。しっぽまで入れると、一メートル近い大きさ、だ。それが、何匹も、どんどこ走り回っている部屋に、生傷を抱えては戻れなかった。以来、わたしの寝室は、「猫の巣」と化した。

今、わたしは、階下の居間のすみっこで、ちんまりと丸まって寝ている。ぼやぼやしていると、母に、「邪魔、邪魔!」とたたき出される。日曜の朝だって、ゆっくり寝ても居られない。何しろ、年寄りは、朝が早いのである。四時か五時には、もう、わたしの枕元で、ガタクタ騒ぎ出す。

居場所が、無い。しみじみ、寂しい。

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