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創作童話です
昔、あるところに、心優しい怪物さんがいました。彼は、困った者を助けたり、町のみんなのために骨を折ったり、いつも、大きな声で、「あっはっは、かまわん、かまわん。」というのが口癖でした。ある日、ちょっと偏屈な宇宙人が、彼の町にやってきました。彼女は、自分以外の人間が怖くてたまらないのでした。怪物さんは、言いました。「宇宙人さん、まず、相手を信じてごらん?」宇宙人はかなり頑固でしたから、かぶりを振りました。「信じれば、裏切られるよ?信じる前より、もっと傷つくよ?」怪物さんは答えました。「それなら、まず、わたしを信じてごらん。わたしが、『信じる』ということを、教えてあげよう。」
それから、長いこと、二人は色々な話をしました。たくさんたくさん、話しました。いろんな所に行きました。ケンカもしました。仲直りも、しました。偏屈で、神経質だった宇宙人も、だんだんに、心を開いてゆきました。でも、怪物さんにとっては、宇宙人と付き合うのは、とっても骨が折れる事だったのです。たくさんのムリをしました。何度も傷つきました。でも、心優しい怪物さんは、いつも言いました。「あっはっは、なぁに、かまわん、かまわん。」
でも、宇宙人は気が付いていました。偏屈、と言われている宇宙人と付き合うことで、周りのみんなから変な目で見られたり、変なことを言われたりしているのではないか、と。
ある日、とうとう、怪物さんは言いました。「どうして、いつもいじめるの?いじめられるのはイヤです。とっても悲しい。さようなら。」
宇宙人は驚きました。自分がいじめている、なんて、思ってもいなかったからです。大好きな、心優しい怪物さんを、何とかして喜ばせたい、いつもそれしか、考えていませんでした。でも、傷つけてしまったなんて。宇宙人は、なんとかして誤解を解きたい、と考えました。お手紙も、たくさん書きました。でも、怪物さんは、宇宙人の呼びかけに応えてはくれませんでした。
とうとう宇宙人は、泣きながら、当てもなく宇宙へ帰っていきました。・・・宇宙人の仲間達は、それぞれに、思い思いの星へと旅だってしまい、今は、たったひとりぽっちで、帰るべき母星も、もう存在しなかったから、宇宙人は、怪物さんと知り合う前より、もっともっとひとりぽっちになってしまいました。でも、宇宙人は思いました。心優しい怪物さん、たくさんたくさん、有り難う。どこかで、また出会えると良いね。仲良しだった頃の笑顔のままに。たくさん幸せになってくださいね。明るい笑顔でいてくださいね。わたしに、誰かを好きになる事を教えてくれて、ありがとう。優しい心を教えてくれて、ありがとう、って。
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